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農業用施設の長寿命化・耐震化の推進について

大 柴 農道と農業用排水施設の長寿命化・耐震化の推進についてでありますけれども、県内の農業用施設は戦後の食料増産や高度経済成長期の時代に整備をされたことから、多くの施設で大分老朽化が進んでいます。そのため、施設の機能の低下などが懸念されることから、県ではダイナミック山梨総合計画や、また、山梨の農業大綱におきまして農業用施設の長寿命化・耐震化の推進を位置づけて機能維持を図っておるところでありますけれども、この主要施策成果説明書によりますと、農道、農業用排水施設の長寿命化・耐震化の推進について、昨年度、釜無川右岸地域ほか6地区の取り組みを行ったと伺っておりますけれども、主な取り組み内容についてまず伺いたいと思います。

耕地課長 農道、農業用排水施設の長寿命化・耐震化の推進につきましては、昨年度、長寿命化対策として南アルプス市の釜無川右岸地区や富士吉田市及び忍野村の北富士地区において漏水が認められた既設用水管や用水路の補修工事を、また、韮崎市の朝穂堰地区においては水路トンネルの崩落防止工事を実施したところであります。さらに、甲州市の東山東部地区におきましては、広域農道への土砂崩落を防止するためののり面工事が完了しまして、通行車両の安全性が確保されたところでございます。あわせて国が整備しました笛吹川沿岸地区や釜無川地区の畑地かんがい施設につきましても、国と一体となった長寿命化対策を進めているところでございます。さらに、市川三郷町と富士川町を結ぶ富士川大橋において、落橋防止工事や橋脚部の耐震補強工事を実施し、計画的に耐震化対策を進めているところであります。

 

大 柴 今、答弁いただいたように、朝穂堰のことは、うちのところを通っておりますからわかっておりまして、崩落をしますとその下の地域に全然水が行かなくて、そして、その下の地域は田んぼもなかなかできないということで、今回は緊急にポンプを使って送っていただいたわけですけれども、やはりこういうのは早目に直すことを考えていかないとならないので、ぜひ対応をお願いしたい。

次に、ため池の長寿命化の推進について伺いますけれども、本県は急峻な山に囲まれているために、降った雨が一気に河川を流れてしまい、農業用の水路を確保することは大変に困難であります。したがいまして、古くからこのため池が造成をされてきたわけでありますけれども、ため池にはかんがい機能のほかに、降雨時に雨水を一時的にためた洪水調整機能を持っているわけでありまして、集落の防火用水源となるなど、多面的な機能を有しておりまして、地域にとっては大変重要な役割を担っているわけであります。

 しかしながら、近年のゲリラ豪雨など、また、大規模地震によりまして、ため池が被災するケースが多く見られていまして、本年の7月に起きました西日本豪雨では、広島で約23カ所、そしてまた岡山県でも4カ所など、合わせて32カ所ものため池が決壊したりしまして、下流域に被害が本当に多く発生をしたわけであります。県内にあるため池の中には、築造後、つくってからもう半世紀以上たつため池がたくさんあるわけでして、老朽化が著しいため池を何とか長寿命化と耐震化を進めていく必要があると思っております。この主要施策成果説明書によりますと、ため池の長寿命化の推進として、昨年度、長坂地区のほか2地区整備をしたということが書いてありますけれども、具体的な取り組みについてもちょっと伺いたいと思います。

 

山耕地課長 県では、ため池の長寿命化を図るため、これまで計画的にため池の改修工事を実施してまいりました。昨年度は、長坂地区の久保頭溜池及び蕪・原村地区の西蕪第一溜池において堤体改修工事や接続する水路の補修工事が完了し、農業用水の安定的な供給が可能となるとともに、ため池下流住民の安全・安心が確保されたところでございます。

 また、南アルプス市の北伊奈ヶ湖地区におきましては、本年度、工事を実施するために必要となる測量設計を行っているところでございます。

 

大 柴 ため池というのは地域の住民にとっては災害にも備えていただいたり、農業の施設に備えていただいたり、大変重要なものだと思っておりますので、しっかりと対応をお願いしたいと思います。

 最後に、農業施設の長寿命化・耐震化の進め方について伺いますけれども、農業用施設は食料生産を支える重要なインフラであるだけでなく、地域の防災、また減災といった公益的な役割を果たしていることから、今後も補修や更新に取り組み、これらの機能の将来にわたる安定的な発揮を図ることは大変重要だと考えておりますけれども、しかしながら、厳しい財政状況の中で、今後もこの長寿命化等を推進していくためには、各施設の状況をしっかりと把握した上で、計画的に対策を実施することが求められております。そこで、県では農業用施設の長寿命化・耐震化をこれからどのように進めていくのか伺います。

 

耕地課長 県では、橋梁やため池、揚排水機場などの農業用排水施設を対象として、平成25年度から3年間、一斉点検や機能診断を実施してきたところでございます。この診断結果に基づきまして、老朽化により対策が必要となる施設の整備に順次、計画的に着手してきております。今後も施設の機能維持や地域住民の安全確保が図られるよう、市町村や関係機関と連携しながら、長寿命化・耐震化に積極的に努めてまいります。

 

大 柴 しっかりと取り組んでいるということを伺いましたけれども、やはり農業をやっている人たちにとっては、施設というのは、これがだめになってしまえばもう本当に高齢化ですから、次の農業をやる人がいなくなってしまうということですから、ぜひ県の皆様もその辺は頭に入れながら対応していっていただきたいなと思います。以上で終わります。

 

防災・減災のための治山施設等の整備の推進について

大 柴 近年の地球温暖化、この影響と思われます台風の大型化や記録的集中豪雨の増加によりまして、全国各地で大規模な土砂災害が頻発し、住民の生活や社会経済活動に深刻な影響を及ぼしているわけでございますけれども、平成30年7月の豪雨、いわゆる西日本豪雨では、異常な集中豪雨等によりまして、山地の崩壊が多発し、大きな被害につながったと言われております。こうしたことから、急峻な山々に囲まれております、また、かつ脆弱な地質からなるこの山梨県においても、山地の災害対策は重要な課題であり、県では集落に近接し、土砂流出のおそれのある渓流など、3,489地区を山地の災害危険区域に指定をし、順次対応を講じていることは承知をしているわけでありますけれども、まず、その中の災害に強い強靱な県土づくりを推進するための計画として、主要施策成果説明書の118ページの一番最初に、山梨県強靱化計画の記載がありますけれども、これがダイナミックやまなし総合計画とどのように関係しているのか、また、この数値目標はあるのか、最初に伺います。

治山林道課長 まず、関連でございますけれども、平成27年に策定をされました山梨県強靱化計画に基づき、土砂災害等による陸の孤島化対策として治山林道施設の整備を推進しているところでありまして、これを災害に強い県土づくりに資する施策事業として総合計画に位置づけをしているところであります。

 また、数値目標でありますけれども、山梨県強靱化計画では、土砂災害対策の着実な推進のため、山地災害危険箇所における治山事業の新規着手数について、平成27年度から31年度末までの5年間におきまして75カ所を目標としております。また、災害時に代替輸送路としての利用が見込まれます林道につきましては、同様な期間におきまして21.5キロメートルの整備を目標としております。

 

大 柴 今、5年という期間で75カ所と、21.5キロということで、そのような目標値を挙げて実施しているということでありますけれども、計画から3年がたったわけですが、数値目標に対しまして平成29年度までには、何%ぐらい完了したんですか。

 

治山林道課長 まず、治山施設の整備におきましては平成29年度末までに46地区で着手をしておりまして、目標の75地区に対しまして進捗率は61%となっております。また、林道の整備におきましては、平成29年度末までに16.5キロメートルの整備を実施いたしまして、目標の21.5キロメートルに対しまして77%の進捗となっております。

 

大 柴 治山の46箇所で61%、16.5キロで77%ということで、これが計画どおりに進捗しているのかどうかちょっとよく私もわかっていないのですけれども、近年の災害の状況を踏まえますと、防災・減災のための治山施設等のさらなる整備が必要だと考えておりますけれども、今後どのような方針で取り組んでいくのか、最後に伺いたいと思います。

 

治山林道課長 お答えします。計画どおりに進捗をしております。

 次に、どのような方針で取り組んでいくのかということでございますけれども、治山事業につきましては、近年の豪雨災害の状況を踏まえまして、流木を捕捉する治山ダムや土石流にも対応できる治山ダムを設置するなど、新たな対策も講じつつ、山地に近接した集落、それから要配慮者利用施設などの保全について優先的に整備を行ってまいります。

 また、林道につきましては、大きな目的は森林の整備等でございますけれども、代替輸送路としても利用できますので、国道や県道などと接続する林道につきまして優先的に事業を実施していくこととしております。

 

大 柴 わかりました。計画どおり進捗していると伺いましたけれども、なかなか今、想定外というところがたくさん出ておりますので、ぜひ進捗が普通に行っているのかもしれませんけれども、なるべく早い執行をお願いしたいと思います。

 

社会資本整備の推進について

大 柴 平成23年3月の東日本大震災をはじめ、本年の7月の西日本豪雨災害、また9月の台風21号や台風24号、北海道の胆振東部の地震など、近年日本列島は相次ぐ自然災害に見舞われており、大変な状況になっているところであります。今後発生をすると言われております南海トラフ地震や、また首都直下地震、富士山噴火等の大規模自然災害に備えまして、社会資本の整備による防災、また減災対策はその重要性がますます高まっているところであります。また、高度経済成長期以降に建設されました公共施設の老朽化に伴いまして、この対策を着実に実施、進めていくとともに、リニア中央新幹線の開業や、東京オリンピック・パラリンピックの開催に向けた道路網の整備をしっかりと積極的に行っていく必要があると考えているところであります。

 これらの県民にとって必要な社会資本の整備については、財政状況が大変厳しい中にあっても、計画的にしっかりと取り組んでいくことが重要と考えておるわけですけれども、県では、限られた財源の中で社会資本の整備を効果的、そして また効率的に推進をするために、社会資本の整備重点計画に基づき取り組みを進めていると伺っているんですけれども、昨年度の進捗状況についてまず伺いたいと思います。

 

県土整備総務課長 山梨県社会資本整備重点計画におきましては、洪水災害・土砂災害等からの生命・財産の保護や、リニア開業に向けた地域づくりの推進、安全安心な交通環境の確保など16の重点目標を設定し、34の施策に取り組んでいるところでございます。このうち20の施策におきましては、計画の最終年度となります31年度の目標値となる26の指標を設定し取り組んでいるところであります。平成29年度におきましては、鎌田川などの整備によりまして、河川整備計画における河川の整備率が54.8%から57.5%に上昇するとともに、道路防災危険箇所の対策箇所数につきましても、新たに身延町中ノ倉地内の国道300号など5カ所の防災工事を完了し、対策済みの箇所が全部で10カ所となるなど、全体として着実に進捗していると考えているところでございます。

 

大 柴 施策ごとに着実に進捗が進んでいると、目標値を定めて進んでいるということでございますけれども、配付されました参考資料の中にあります山梨県社会資本整備重点計画、この第3次の進捗状況一覧を見ますと、目標数値が設定されていない施策もあるんですけれども、これらの取り組み状況はどのようになっているのか伺います。

 

県土整備総務課長 具体的な数値での進捗管理になじまない14の施策につきましても、例えば富士山火山防災の推進につきましては、本年度より富士山噴火対策が国の直轄事業となるとともに、また、甲府駅南口周辺地域の再整備の推進につきましても、甲府駅南口駅前広場の整備が完了しまして昨年8月に供用するなど、着実に成果があらわれていると考えております。

 

大 柴 委員多くの施策が着実に整備が図られているということはよくわかったんですけれども、数値だけですとなかなか整備の効果がわかりづらいというのも1つあると思うんです。社会資本の整備による効果発現を県民の皆様によりわかりやすくするためにどのように取り組んでいるのか伺います。

 

県土整備総務課長 社会資本の整備につきましては、単年での評価が難しく、その整備には時間を要するため、社会資本整備重点計画におきまして5カ年での目標値を掲げて取り組んでいるところではございますけれども、実際にどういう成果が上がったのかということを県民の皆様にわかりやすい形で周知していくことが非常に重要であると考えているところでございます。このため、今年度、計画のスタートであります27年度から29年度までの主な施策に係ります取り組み状況と整備効果を成果事例として取りまとめてホームページで公表し、県民の皆様に周知を始めたところでございます。

 

大 柴 わかりました。県民の皆さん方の安全安心のためには、今後も効果的、また効率的に社会資本の整備を進めていただきたいと思います。

 

土砂災害と情報システムの構築・運用について

大 柴 先ほど申し上げましたように異常気象や地震などで全国的に自然災害が頻発しているところでありますけれども、特に土砂災害は人命にかかわる大きな災害になることが多くなっております。土砂災害による人的被害を防ぐためには、直接土砂をとめる砂防施設があるわけでありますけれども、それとまた、警戒区域の周知や警戒の情報の提供などを行うソフト対策が大変重要であると考えているわけです。土砂災害等に関する防災関係機関の確実な情報共有を図り、県民への情報発信を迅速かつ適切に行うため、土砂災害等の情報システムを運用したとありますけれども、まずこのシステム内容について伺いたいと思います。

 

砂防課長 ただいまの質問にお答えいたします。土砂災害における避難のタイミングなどを判断するため、住民や行政機関向けに土砂災害警戒区域等情報システム、災害情報メール配信システム、土砂災害警戒情報システムの3つのシステムを構築しております。大雨警報や土砂災害警戒情報を災害情報メール配信システムで受け取っていただければ、メールのリンクから土砂災害の詳細な危険度を確認することができます。なお、平成29年度は、気象庁が発表する南海トラフ地震に関連する情報提供を行うためのメール配信システムの改修や、土砂災害警戒情報のデータ検証を実施しているところでございます。

 

大 柴 今聞きましたメールの配信システムは、県民にとって非常に便利なものであるということはわかるんですけれども、なかなか県民への周知が難しく、私もなかなか使いこなせていないというのが現状ですので、さらなる普及に努めていただきたいと思います。

また、土砂災害警戒情報システムは、県民の避難に有効だと考えます。この情報を幅広い地域住民の皆様により手軽に伝えるとともに、土砂災害警戒情報を避難勧告等の発令を行う市町村に確実に伝えることが極めて重要であると考えていますけれども、県ではどのような工夫を行って周知をしているのか伺いたいと思います。

 

砂防課長 土砂災害警戒情報システムにつきましては、高齢者などインターネットをあまり利用しない方でも利用しやすいように、手軽に利用しやすいテレビのデータ放送、いわゆるdボタンを使った情報提供も有効と考えておりまして、平成29年度までに地域のケーブルテレビ局8社と協定を結び、土砂災害の危険度情報を配信しているところでございます。さらに、土砂災害警戒情報の発表を確実に伝達するため、市町村長とのホットラインを構築し、運用を始めているところでございます。

 

大 柴 本当に人命が第一であります。dボタンもほんとにまだわかりづらいと高齢者は思います。ぜひその辺のところもしっかりと対応していっていただきたいと思います。以上で終わります。

 

平成30年11月12・15日 決算特別委員会